だしソムリエ3級講座を受講して「だしソムリエ」になってきました!

だしソムリエ3級の修了証

このブログでは出汁を使ったレシピやお店を紹介しています。
でも、もっと出汁のことを知りたいということで、セミナーとか勉強会のようなイベントがないか探していたところ、「だしソムリエ養成講座」というイベントがあるということを発見しました。

出汁について、より理解を深めるということ。
そして、出汁に関心のある方とも知り合いになれるかもしれない。
ということで、先日の1/30(水)に受講してきました。

今回受講したのは「だしソムリエ3級講座」。
受講料は、18,800円(税込)と少し値が張りますが、将来につながると思いサクッとお支払い(笑)

場所は「赤穂の天塩」で知られる株式会社天塩さんのスタジオ@新宿です。

この日は僕を含めて10名ほどが受講をしていましたが、男性はお手伝いのスタッフの方と僕だけw
女性に囲まれながら緊張の受講スタートです。

講師は「前原 淑子さん」というやはり「だしソムリエ」の方で、この講座で教える資格を有している料理の先生。
出汁のみではなく、他にもいろんな料理教室で活躍されているようです。

この講座がどんな内容なのかを時系列で追っていきたいと思います。

1.自己紹介

まずは、担当講師の方と受講者のそれぞれの自己紹介があります。

受講者の方は、いろんな方がいました。

  • 出汁に興味を持ちはじめて、さらに詳しく知りたいと思っている方
  • 受講者の方に誘われて、興味半分で参加してみる方
  • 自宅での普段の料理で出汁を活かして料理したい方
  • だしソムリエの資格を取り、仕事に活かしたい方

職業は、専業主婦や家事手伝いの方が半分で、事業をされている方や厨房で働いている方といった、自ら事業をされている方が残り半分という感じ。
千葉や長野といった遠方から来られている方もいて、いろんな人がいるなぁと関心しました。

思うに、こういった出汁関連のイベント・勉強会は世の中にあまり存在してないので、ちょっとでも出汁に関して知りたいと調べ始めた方が受講している、といった印象です。
実際、僕もそうです。

みなさんそれぞれ出汁についての見識はあるようでしたが、知識や経験という意味では、似通っているような印象で、受講者のレベルが違いすぎて緊張する、といったことはなかったです。

2.「だしソムリエ養成講座」についての説明

次にこの講座自体の基本的な説明があります。

まずはこの「だしソムリエ3級講座」では、

  • 出汁やうま味についての基本知識
  • いろんな種類の出汁を知ること

から入っていきます。

そして、3級を終了後に、2級・1級と進んでいくことができます。

2級では、昆布などの乾物だし素材メーカーの方の講義。
1級では、出汁をベースにした日本の食生活の変遷や料理での実践。
といったことを学んでいくようです。

この日はまずはじめの「3級」を受講です。

3.出汁の一般知識

ここからが本格的な講義に入っていきます。
講義といっても、堅苦しくないのでご安心ください^^

出汁とは、料理のベースとなるもの。
料理は、そのベースとなる出汁、具材、調味料で構成されているということ。
出汁と調味料は混同して捉えられがちだけど違うものだよ、ということ。

さらに出汁の種類としては、「独立してとる出汁」と「自然にとれる出汁」があり、
前者は昆布やかつお節だけでなく、西洋のブイヨンや中華料理の鶏ガラなどもあります。
後者は、鍋料理や煮込み料理、炒めものなどで、具材から直接とれる出汁のことをいいます。

ここまでは基本的な知識だったりするので、受講者の皆さんは結構知っているようでしたので、さらっと展開される感じです

4.きき出汁

さて、ここからがこの講座の面白いところです。
様々な出汁を実際に味わってみて、何の出汁なのかを当てる「きき出汁」をやります。

この写真のように、カップに6種類の出汁が用意されていて、
それぞれ何の出汁なのかを当てていきます。

きき出汁のテイスティング

今回の出汁は以下の6種類でした。

  • かつお節
  • 昆布
  • 本だし
  • しいたけ
  • 煮干し
  • ベジブロス

これが結構おもしろかったです。
実際にこんな風にいろんな種類の出汁を並べて、どのような味の違いがあるのか比べるというのは、家では面倒でやらないものです。

きき出汁のテイスティング

実際テイスティングをすると、それぞれの出汁の違いがよくわかります。
受講者のみなさんは、それぞれの違いがはっきりと分かったようで、みんな正解といった感じ。

だけど、おもしろかったのは、受講者のみなさんの味の好みがそれぞれ分かれていた、ということ。
例えば、自宅のお味噌汁で「煮干し」を普段使われている方は、やはり煮干しの出汁が好みのようでした。
かつお節の酸味や塩味が効いた出汁が好きな方は、そもそも「酸味」というテイストが好きだったり。

本当に味覚というものは様々です。
これは同じ日本人でも、地域や家庭によって経験する味が違うことによって生まれてくる味覚の違いなのだと思います。

ちなみに僕が一番美味しいと思ったのは「本だし」(笑)。
僕はきっと味の素で育ったんだと思います^^;

そして、この出汁による「うま味」というものが、生理学的味覚の「5原味」のうちのひとつで、それぞれ以下の3つのうま味成分に分かれます。

  • グルタミン酸:昆布、野菜類
  • イノシン酸:かつお節、煮干し、肉、魚
  • グアニル酸:乾しいたけ、キノコ類

そして、この3つのアミノ酸がそれぞれ相乗効果を持ちます。

「本だし」が一番美味しいと感じたのは、いろんなうま味成分が含まれていて相乗効果が生まれている結果です。
決して貧乏舌というわけではありません(笑)

5.出汁のテイスティング・ブレンド

そして、ここからは各種類の出汁の違いをさらに体感していきます。

  • 昆布;真昆布と日高昆布
  • かつお節:本枯節と混合節
  • 煮干し:片口いわしとあごだし
  • 乾しいたけ

上記のように、昆布は昆布でも「真昆布」と「日高昆布」の違いを体感していきます。
同じ昆布でもその味は全然違うことには驚きます。

きき出汁のテイスティング
↑見た目はあまり変わらないが、「真昆布」のほうが上品ですっきりとした味。「日高昆布」は少しとろっとして磯の香りが強く感じた。

その味の違いを体感しつつ、それぞれの出汁の製造工程、豆知識(栄養分、選び方、保存方法)などを学んでいきます。

一通り終わったら、それぞれの出汁をブレンドしてみて、うま味の相乗効果を体感してみたりできます。
ブレンドをする際は、お醤油や塩なども加えて自由に楽しめます。

やはりここでも実感するのは、「昆布+かつお節+しょうゆ」のマジックです。
グルタミン酸とイノシン酸が合わさるとうま味が7倍になるという理論がありますが、そこにお醤油が加わることで、さらにうま味が倍増します。

6.出汁をひいてみる

さあ、ここからは実践です。
実際に出汁をとってみます。

出汁を取ってみる

この日は2種類の出汁を取りました。
ひとつは、昆布+かつお節。
もうひとつは、昆布+煮干し。

この材料で「一番だし」を取ります。

出汁を取ってみる

出汁を取ってみる

出汁を取ってみる

出汁を取ってみる

出汁を取ってみる

出汁のとり方の基本的な方法として、前原先生が説明をしてくれましたが、心に残ったのは「出汁のとり方に正しい方法がある訳ではなく、いろんな方法がある」ということ。

前原先生の出汁とりのレクチャー↑前原先生の出汁とりのレクチャー

出汁のとり方は、地域やお店や家庭によって様々あります。
だから肩肘張らずに、自分がやりやすく美味しいと思う方法で出汁を取っていいんだよ、という考え方で良いのだと思いました。
僕もこの考え方に共感します。

出汁が取れたら、それにお味噌を合わせてテイスティングをします。

出汁とテイスティング

ここでも先生がいろんな種類のお味噌を用意してくれました。

いろんな種類のお味噌

出汁と味噌の組み合わせで味がぜんぜん違うものになります。
同じ味噌汁といっても、相当な数の味の組み合わせがあるのではないでしょうか?

お味噌汁というのは慣れ親しんだ味しか受け付けない、という人も多いと思いますが、これだけたくさんの種類の味があるので、僕としてはお味噌汁もいろいろと楽しんでみたいものです。

それにしても、今回は昆布やかつお節などの材料もとても高級なものを用意していただいて、先生や天塩さんに感謝です。

7.「だしソムリエ」認定の修了証授与

最後に「だしソムリエ3級」の終了証の授与があります。
そして、みんなで修了証を手に集合写真。
これで全行程終了です。

帰る前には、今日の場所を提供してくれた天塩さんから昆布などのお土産までいただきました。
天塩さん、本当にありがとうございます。

終わったら、みなさんササッと帰られたのですが、ここで懇親会的に少し話ができればうれしかったなぁ、と個人的には思っています。
一応、自己紹介で他の受講生の方が出汁にどういった興味をもっているのかは、なんとなく知れましたが、もう少し話を聞いてみたかったです。

そして、これで晴れて「だしソムリエ」が名乗れる、ということになります。
なんか称号を得た、みたいな感じでうれしいですね。

だしソムリエ3級の修了証

講座全体を通してみると、堅苦しい座学的な内容は少なかったです。
それよりも出汁を味わってみたり、作ってみたりといった体験型の内容になっているので、とても楽しく学べる講座です。

受講するにはちょっと値が張ります。
ただ、とても良い食材を用意してくれますし、いい体験をしながら、出汁を学んでいく良いきっかけになります。
長い人生を考えたときに、これはとてもよい経験になるものです。
だから肩肘張らずに、ちょっと興味があるだけでも受けて見てもいいと思います。
それで自分の料理の世界が広がるのは楽しいことだと僕なんかは思います。

僕自身としては、出汁を日本以外の人にも広めていきたい、という思いがあります。
だからここで学んだことや、「だしソムリエ」という称号を使わせてもらい、より踏み込んだ活動や発信をしていきたいと考えています。

改めて、講師の前原先生や天塩スタジオのスタッフのみなさん、ありがとうございました!
次は2級だ!